転職前に本を読んで考えたことをまとめた話です。
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最近、社内の方におすすめされて、ビルドトラップ本と呼ばれている「プロダクトマネジメント」を先日読み終えた。
私が開発を担当しているサービスの部署には「プロダクトマネージャー」という職位の人やその肩書きを持つ人はいなくて、たぶん社内にも一人もいないと思う。
似たようなことをしている人はだいたい「開発ディレクター」とか「プロダクトオーナー」と呼ばれているので、この本を読むときは「プロダクトマネジメントって何?社内でいう誰にあたるんだ?」と思いながら読んだ。
読み終えて、改めて「プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーとプロダクトオーナーってつまり何が違うんだ?」となって調べて紙に汚くメモしてたので、ちゃんとまとめて書いておく。
プロダクトマネージャー
プロダクトが市場や顧客に与えるものすべてに責任を持つ人。また、プロダクト開発における「なぜやるのか」に責任を持つ人。
プロダクトマネージャーは市場分析や顧客調査の結果を集めてきて、そのうえでプロダクトが成長できてかつ顧客の問題を解決できるようなプロダクトのビジョンや開発戦略(=ロードマップ)を決定する。
よくプロダクトマネージャーは上流を担当する役割、プロジェクトマネージャーは下流を担当する役割だって言われているらしい。ウォーターフォールだとたしかにイメージしやすいかも。
アジャイルではプロダクトマネージャーの役割をチームメンバーに分散させているため、チームメンバーがある程度の裁量を持っている。
プロダクトマネージャーは「なぜやるのか(=プロダクトビジョン)」を決めるのであって、「何をやるのか」は決めてはいけない。「何をやるのか」はチームが決める(アジャイル開発においては特にそう)。
プロジェクトマネージャー
プロダクト開発のうちの特定の段階(=プロジェクト)を管理し、「いつやるのか」つまり期限や納期などのスケジュールに責任を持つ人。プロダクトマネージャーが決めたビジョンに基づいて行動する。
ウォーターフォール開発のチームで多く聞かれる気がするが、たとえば私の所属するプロダクトではアジャイル開発だがプロジェクトマネージャー相当の仕事をしている人はたくさんいる気がする。たとえば私のチームでの「開発ディレクター」「プロダクトオーナー」にあたる人は、あるバックログアイテムをリリースするまでにかかる工数からリリース期限を決めて、リリース期限に関係のある人たちとの調整をやっていたりするので、それはプロジェクトマネジメントと言えるのではないかと思う。
また、プロダクトマネージャーに比べ責任範囲がスケジュール管理に限定されている感じがする。プロダクトマネージャーよりも責任を持つスコープが狭く、チームメンバーが意思決定に参加できるかどうかも決められる。
プロダクトオーナーと違い、出来上がる機能や成果物が生むユーザー価値に対しては責任がない。極端な話、要件を満たすものが期間内にできれば、出来上がったものがどんなものであってもプロジェクトマネージャーには関係ないイメージ。
プロダクトオーナー
プロダクトオーナーはスクラムというフレームワーク上で存在する役割。プロダクト開発における「価値を最大化するためにやることとその結果」に対する責任を持つ人。
プロダクトの価値を最大化するための役割で、そのためにバックログを管理したり、やることとやらないことを判断する。バックログの管理は委譲してもよいが、最終的な責任や判断責任はプロダクトオーナーにある。
プロダクトの価値を最大化するためにやるべきでないことはやらないと決定する権利と責任を持つ人。
プロジェクトマネージャーに似ているが、プロジェクトマネージャーと違ってチームと協力したり議論したりする。プロダクトオーナーには最終責任があるだけでしかない。プロダクトオーナーはプロダクトの価値や機能(スクラム用語でのインクリメント)がもたらす結果に責任があるので、価値よりもコストが上回ると思われたらそのタスクやソリューションを辞める・捨てる権限を持っている。
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーを足して2で割った感じがする。プロダクトマネージャーよりはカバーする範囲は狭い(プロダクト戦略やビジョンの決定は守備範囲外)し、プロジェクトマネージャーよりはカバーする範囲が広い(スケジュール管理以外にもバックログ管理もする)みたいな。。
あとは、プロジェクトマネージャーがビジョンに基づいて行動するだけなのに対し、プロダクトオーナーはビジョンに基づいた行動をしつつもやる必要のない作業や効果がないソリューションを捨てる権利があるというところから、裁量のあるプロジェクトマネージャーとも言えそう。
まあそもそもプロダクトオーナーという役割はスクラム特有のものなので、比較するものじゃないのかもなと思う。
まとめ
三者の違いは、その役割が持つ責任のスコープの違いであるのかなと思った。
- プロダクトマネージャー:プロダクトの方向性、「なぜやるのか」に責任を持つ
- プロジェクトマネージャー:プロダクトの特定の段階のスケジュール、「いつやるのか」に責任を持つ
- プロダクトオーナー:プロダクトのバックログ、「価値を最大化するためにやることとその結果」に対する責任を持つ
特にプロダクトオーナーはスクラム特有の役割なので、若干比較がしづらいなと感じた。強いて言うならプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの中間って感じ。
そしてここまで整理できると、「プロダクトマネージャーにあたる人はあの人だな」とかわかるようになって、何かを交渉したくなったり相談したくなったときに適切な人に話しかけることができるようになることがたった今わかった。
私は普段開発者としてチームにいるが、誰がビジョンを決めて誰がスケジュールとバックログを管理しているかがわかって、チームだけでなく部署全体を見渡しやすくなったように感じる。自分のいる開発者という立場以外の人の考え方や視点を知れたという意味でも、プロダクトマネジメントを読んで良かったなーと思った。
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参考文献